ごあいさつ

2013年7月
2014年4月改定

多発性嚢胞腎研究の大きな流れ


杏林大学医学部
多発性嚢胞腎研究講座
特任教授 東原英二

多発性嚢胞腎の研究は古い時代から行われていますが、

  1. この病気の遺伝子が明らかにされたこと(1994年)
  2. 嚢胞細胞がサイクリックAMPによって増大すること(2000年)
  3. サイクリックAMPを活性化する抗利尿ホルモンの阻害薬(トルバプタン)が治療薬になりうること(2003年)
  4. 臨床試験でトルバプタンの一定の効果が示されたこと(2012年)
  5. トルバプタン(商品名サムスカ)が、多発性嚢胞腎の治療薬として日本で承認された事(2014年4月)

が治療に向けての大きな進歩として位置づけられます。研究は「医学研究の究極の目標=病の治療に役立つこと」へと進歩してきました。

多発性嚢胞腎と私の関わり

私は泌尿器科が専門ですが、腎臓学にも興味がありました。泌尿器科では腎移植などの腎臓の手術が出来るという魅力から、腎臓内科ではなく泌尿器科を選びました。1976年から米国ダラスのテキサス大学(当時は米国に於ける腎臓学のメッカといわれていました)に2年間留学をし、腎臓生理学を研究しました。帰国後は髄質海綿腎(腎臓結石が出来ます)の研究を行い、1987年第10回国際腎臓学会(ロンドン)の嚢胞性腎疾患シンポジュムで発表する機会がありました。その時、オックスフォード大学から多発性嚢胞腎遺伝子研究の発表があり、強い興味を持ちました。1989年から厚生省の『進行性腎障害調査研究班』に加わる機会があり、その時から多発性嚢胞腎の臨床研究に取り組んできました。2003年トルバプタンが日本の製薬会社(大塚製薬)の製品であることを知ったときには、本当に驚き、また喜びました。2004年頃からトルバプタンの臨床治験が計画され、私も参加してきました。2012年12月に結果がまとまり発表されています。

2013年3月杏林大学泌尿器科を退職しましたが、寄付講座「多発性嚢胞腎研究講座」が杏林大学医学部に出来、これまでの臨床データーの整理と、杏林大学泌尿器科に通院されている多発性嚢胞腎患者さんの診療を引き続いて行うことになりました。

ホームページの立ち上げ

此の度、「多発性嚢胞腎研究講座」のホームページを作成しました。多発性嚢胞腎患者さんに情報提供し、患者さんのお役にたつことが出来れば幸いです。