よくある質問

この病気の問題点はなんでしょうか?
  1. 腎臓の機能が徐々に悪くなり、生涯透析にならない人もいますが、70歳ぐらいまでに約50%の人が血液透析になります(図1)。
  2. 多発性嚢胞腎患者の1994年に於ける推定受療者数と透析患者数(図1)
  3. 腎臓や肝臓が徐々に大きくなっていくので、女性であれば妊娠していると思われる人もいます。外見上腹部が大きくなるだけでなく、大きくなった腎臓・肝臓のため、消化管が圧迫されて食事がとりにくくなり、栄養状態が悪くなる人もいます。大きくなった腎臓・肝臓の重さや圧迫の為に、日常的に腰や背中が痛みます。また、時には嚢胞内に出血・感染して、強い痛みや熱が出ます。肝臓の機能が悪くなる人もいますが、多くの人では肝機能の低下はありません。
  4. 高血圧があります。高血圧がある人は、ない人より腎臓の機能が早く悪くなる傾向があります。高血圧を治療すれば、腎臓機能の低下速度が緩和される可能性が示されています。また高血圧は、脳出血の危険因子です。
  5. 遺伝性である点です。本人が病気になるばかりではなく、子供に遺伝する可能性が50%あります。
この病気の患者数は判っていますか?
わが国で医療機関にかかっている患者は約20,000~30,000人と推定されています。しかし、医療機関にかかっていない人を全て含めると、倍ぐらいの患者数である可能性があります。効果のある治療薬が使用できるようになれば、医療機関を受診する患者数も増える可能性があります。
生活上注意すべきことは?
多発性嚢胞腎の進行に
影響すると推測される要因 (表1)
  悪いと推測される要因 良いと推測される要因
1 脱水 飲水
2 Na摂取 カルシュウム摂取
(食事から)
3 カフェイン リノレイン酸を含む食事
4 喫煙 大豆製品
5 過度の肉食 日光浴
6 抗うつ薬(SSRI)など -
7 リノール酸を含む食事 -

Rinkel GJE: Lancet Neurol. 2005; 4:122

飲水の効果が動物実験で確かめられていることから、飲水が行われていますが、尿量が増えると多くの場合食塩摂取量も増えており、飲水によるプラス効果より、食塩摂取増加のマイナス効果が強く出ることがあり、要注意です。
クレアチン (creatine) は筋肉増強剤として使われていますが、多発性嚢胞腎動物モデルで腎機能障害を強める事が示されているので、多発性嚢胞腎患者では注意が必要です。
カフェインはc-AMPの分解酵素phophodiesteraseを抑制し細胞内のc-AMP濃度を上げ、その結果ADPKD細胞では細胞増殖へと導かれることがin vitro実験で示されているので、カフェインの摂取は過剰にならないように注意しましょう。
抗利尿ホルモンを高める作用が抗うつ薬の一部にあるので要注意です。降圧剤のARBには抗利尿ホルモンの作用を抑制する作用があるので、降圧作用以外の効果が期待できます。
そのほか表1で示した注意点が考えられます。
この病気は遺伝しますか?
遺伝します。常染色体遺伝で、男性、女性にかかわりなく遺伝します。優性遺伝ですから、片親がこの疾患に罹っていた場合、子供の50%に遺伝します。50%は確率ですから、子供が2人の場合には、疾患が遺伝するのは、0人、1人、2人とも、という風にばらつきます。例えば、大勢の患者さんの子供100人を調べれば、約1/2(50名)の子供に疾患が見いだされます。
多発性嚢胞腎には常染色体優性遺伝をする常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)と常染色体劣性遺伝する常染色体劣性多発性嚢胞腎(ARPKD)があります。ARPKDは比較的まれな疾患です。
常染色体劣性多発性嚢胞腎について教えて下さい
常染色体劣性多発性嚢胞腎についてはこちらをご覧下さい。